折り畳めるペーパー太陽電池
透明プラスチックに銀ナノワイヤを塗布すると、フレキシブルな透明導電膜ができる。しかし、両者の密着性が乏しいため、プラスチックベースの銀ナノワイヤ透明導電膜は、折り畳むと導電性は失われる。一方、銀ナノワイヤはセルロースナノファイバーと絡まり合っているため(図1)、電気の流れる透明な紙は折り畳んでも、導電性は失われない。
この材料を利用すると、折り畳み可能な電子デバイスが実現できる。例えば、透明ナノペーパーへ銀ナノワイヤインクを印刷すると、透明な電気配線ができ、この電気配線は折り畳んでもLEDライトを点灯し続ける(図2)。さらに、ここに太陽電池素子を搭載すると、透明ナノペーパーはペーパー太陽電池へと進化する。このペーパー太陽電池は、既存のITOガラスベース太陽電池と同等の変換効率を達成している。さらに、ペーパー太陽電池は軽量で折り畳むことが可能である(図3)。したがって、将来の太陽電池は小さく折り畳んでポケットやリュックに入れて持ち運び、必要な時に、大きく広げて利用するようになるかも知れません。
図1 銀ナノワイヤ透明導電膜において、密接に絡まりあうセルロースナノファイバーと銀ナノワイヤ
図2 透明な紙へ印刷した銀ナノワイヤ配線は、何回折り畳んでも電気を流し続ける。
図3 軽くて持ち運びしやすいペーパー太陽電池
© Department of Functionalized Natural Materials ISIR, Osaka University