Department of Functionalized Natural Materials, The Institute of Scientific and Industrial Research, Osaka University 大阪大学 産業科学研究所 第2研究分門 自然材料機能化研究分野

Department of Functionalized Natural Materials, The Institute of Scientific and Industrial Research, Osaka University 大阪大学 産業科学研究所 第2研究分門 自然材料機能化研究分野

導電性ライン on ナノペーパー

電子デバイスを製造するためには、半導体やメモリ、トランジスタなど各種電子部品を微細な電気配線で電気的に接続する必要がある。したがって、フレキシブル基板のうえに微細な高導電性配線を印刷する技術は、プリンテッド・エレクトロニクスの実現に向けて非常に重要な課題である。これまで私達は、印刷インクの溶媒蒸発プロセスに着目し配線の導電性発現メカニズム明らかにし(Kim 2012)、プラスチックフィルムに高導電性配線を印刷するために、撥液ポーラスタイプ(Kim 2012)と溶媒吸収タイプ(Kim 2012)の受理層の開発を行った。これら知見から、セルロースナノファイバーの緻密なネットワーク構造が、微細な高導電性配線の実現に寄与することを明らかになった。

幅15-50umのパルプ繊維を用いた従来の白い紙は、パルプ繊維同士の間に数umオーダーの隙間があるため、微細な導電性ナノマテリアル(例えば、直径50nm以下の銀ナノ粒子インク)を印刷すると、導電性ナノマテリアルはインク溶媒と共にその空隙へと流れ込む。その結果、印刷ラインは著しく滲み、導電性も極めて低くなる。
ナノペーパーは、セルロースナノファイバー同士が緻密に凝集したネットワーク構造を有している。そのため、印刷した導電性ナノマテリアルはシート表面に留まり、印刷ラインは非常にシャープな形状を示す。また、ナノペーパーは高耐熱性を有するため、金属ナノインクに十分な加熱処理を施すことができ、ナノペーパー印刷ラインは金属バルクに匹敵する高導電性を示した。

さらに、このナノペーパー印刷配線を高温高湿雰囲気下(85℃/RH85%)に1~2ヶ月晒しても、その導電性は全く低下しない。この試験条件は、電子デバイス部品の信頼性評価の用いられる条件であるため、ナノペーパー印刷配線は、電子デバイスに十分適用可能であることが明らかになった。

Ming-Chun Hsieh et al., Nanoscale (2013), DOI:10.1039/C3NR01951A
Thi Thi Nge et al., Journal of Materials Chemistry C, DOI: 10.1039/C3TC31220H



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