研究
透明な紙 夢と希望は、ここにある。
セルロースナノファイバーとは、幅4-15nmのとても微細な繊維であり、地球上すべての植物に含まれれる無尽蔵な天然資源です。
2000年頃、世界に先駆けて日本から、セルロースナノファイバーの研究開発はスタートしました。。
日本の研究者がこの分野を牽引し、ナノファイバーの製造方法、ナノファイバーの機械的特性(read more …)など多くの研究成果が報告されています。
そして2008年、私達は、このナノファイバーを使って「透明な紙」をつくることに成功しました。
現在は、新たなセルロースナノファイバー材料の開発、透明な紙を用いた電子機器:ペーパーエレクトロニクスの研究を行っています。
主な研究テーマ
0. セルロースナノファイバー(こちらは研究成果の紹介ではなく、イントロです。)
1. 透明な紙
2. ペーパーデバイス
3. プリンテッドエレクトロニクス
4. ナノファイバー補強透明材料 (京大時代のテーマ、現在は行っていません。)
専門分野が異なる方へ、
こちらに、私達の研究成果を紹介した記事があります。どうぞご覧下さい。
日経ビジネスオンライン 「日本キラピカ大作戦」(2013年6月)
0. セルロースナノファイバー
0-1 色んな名前があるけれど。。
セルロースナノファイバー、ナノセルロース、セルロースナノウィスカー、セルロースミクロフィブリル。。
色々な名前・名称がありますね。。。
とりあえず、全部同じ物だと思いましょう。
「えっ???乱暴な・・」と思った貴方は、かなりの専門家です。
0-2 どこにある?
紙、Tシャツ、下着、草、野菜、木材。。
私達の身の回りには、山ほどセルロースナノファイバーがあります。
しかし、その存在に、一度も気が付いたことありませんね。。
なぜ気がつかないのでしょう?
人間の目の分解能は100um程度です。一方、セルロースナノファイバーは太さ15nm(0.015um)程度です。目で見えないほど、細いんですね。
電子顕微鏡を使ってみると、セルロースナノファイバーは簡単に見えますよ。read more..
0-3 誰が作る?
セルロースナノファイバーは、植物が細胞壁で日々、産出しています。
草、野菜、樹木、すべての植物がセルロースナノファイバーを作っています(植物って、素晴らしい!!)。
植物のほかに、酢酸菌という細菌がセルロースナノファイバーを作っています。
酢酸菌が作ったセルロースナノファイバー、それをシロップ漬けにしたものを「ナタデココ」と呼んでいます。
(左)ナタデココ、(右)酢酸菌(丸い物体)とセルロースナノファイバー(繊維状物質)
セルロースナノファイバーに関して人間が行なっていることは、植物繊維をほぐしてセルロースナノファイバーを取り出すこと。そして、ナタデココや野菜などを食べていることの2つです。
しかし、植物繊維をほぐしてセルロースナノファイバーを分散した状態することは、最近まで不可能な技術でした。read more …
0-4 どれだけ細い?
これまでのセルロース繊維は、髪の毛程度の太さでした(数十ミクロン)。そのセルロース繊維をA4サイズの紙から引っ張り出して、一本に並べると、歩いて1時間程度の距離(およそ15km)になります。意外と細長いですね。
一方、セルロースナノファイバーの太さは、3-15nm程度です。そのセルロースナノファイバーを1cm四方の紙から引っ張り出して、一本に並べると、地球をぐるりと一周できます(およそ40,000km)。セルロースナノファイバー、とんでもなく細い繊維です。
1. 透明な紙(ナノペーパー)
1-1 21世紀、紙は透明になった。
右は20世紀までの「白い紙」、左が21世紀からの「透明な紙」。
セルロースナノファイバーで紙を作ると、透明な紙ができます。接着剤やプラスチックなどは一切使っていません。 read more …
【関連文献】
M. Nogi et al. Advanced Materials (2009) DOI: 10.1002/adma.200803174
M. Nogi et al. Applied Physics Letters, (2009) DOI:10.1063/1.3154547
1-2 透明ナノペーパーと透明プラスチック複合材料、何が違う?
右と左、どちらもセルロースナノファイバーを使った透明材料です。左はセルロースナノファイバーとプラスチックを混ぜた透明材料で、右はセルロースナノファイバーだけでできた透明材料です。見た目は一緒ですが、透明になる原理は全く異なります。
ちょっと時間のある方、簡単な話からじっくり理解したい方はコチラから。。透明って、ナニ?
こちら、いきなり理由を説明しています。Read more …
【関連文献】
M. Nogi et al. Appl. Phys. Lett. (2005) https://doi.org/10.1063/1.2146056
1-3 セルロースナノファイバー原料、何が好ましい?
現在は、木材パルプが主流です。
木材以外の植物繊維やナタデココなどは、特殊用途を見出せば可能性あるかな?
古紙パルプも、どうでしょう?そもそも、原料コストの占める割合はとても小さいので。。Read more
1-4 セルロースナノファイバーの種類
セルロースナノファイバーの出発原料は木材チップです。木材チップを精製・変性して機械的解繊処理すると、セルロースナノファイバーの水懸濁液が得られます。セルロースナノファイバーの種類は、機械的解繊方法ではなく、木材チップの精製・変性方法で決定されます。Read more …
この一連の方法は、セルロースナノファイバー懸濁液やフィルムの製造に適しています。軽量・高強度なセルロースナノファイバー複合材を製造するには、解繊処理と混練処理を同時に行なう方法が開発されつつあります(京都プロセスなど)。
【関連文献】
H. Yagyu et al., ACS Appl. Mater. Interfaces, (2015), DOI: 10.1021/acsami.5b06915
M-C. Hsieh et al., Scientific Reports (2017) Doi:10.1038/srep41590
1-5 半透明なナノペーパーってあるけど、どうして?
ナノペーパーは、半透明なものからクリア透明まで様々な外観があります。太いパルプ繊維が残っているナノペーパーは半透明で、残っていないナノペーパーはクリアな透明になります。ナノペーパーのヘイズ(光散乱)は繊維ではなく空隙で生じるので、セルロースナノファイバーの太さは関係ありません(少なくとも可視光領域では)。Read more …
【関連文献】
M-C. Hsieh et al., Scientific Reports (2017) Doi:10.1038/srep41590
1-6 透明な紙、どこまで透明になった?
透明なガラスと磨りガラス、見た目は大きく異なりますが、全光線透過率は約90%で一緒です。その違いは、「ヘイズ」という数値にあらわれます。透明なガラスはヘイズがほぼ0%で、磨りガラスはヘイズがとても大きいです。さてナノペーパー(厚さ20um程度)ですが、全光線透過率は90%(理論値到達)、ヘイズは1%以下になっています。ここまでヘイズが小さいと、とても透明です。read more …
【関連文献】
M. Nogi et al., Applied Physics Letters, (2013) DOI:10.1063/1.4804361
技術情報協会、2014年11月、ISBN-13: 978-4861045639 PDF(0.2MB 開封要パスワード)
1-7 紙は、耐熱性が高い!
紙(セルロースパルプ繊維)は非常に高い耐熱性を有する材料です。
例えば、濾紙や画用紙は200℃程度で加熱しても変形・黄変しませんが、多くのプラスチックは150℃程度で変形・黄変します。read more …
【関連文献】
M. Nogi et al., Applied Physics Letters, (2013) DOI:10.1063/1.4804361
Ming-Chun Hsieh et al., Nanoscale (2013), DOI:10.1039/C3NR01951A
Material Stage、2013 (12) 13-15 PDF(0.5MB 開封要パスワード)
1-8 透明性と耐熱性の両立
ナノペーパーは色々な製造方法があり、透明性が高いほど耐熱性が低いという傾向があります。そこで私達は、東大磯貝グループとの共同研究において、透明性と耐熱性を兼ね備えたナノペーパーを開発しました。read more …
【関連文献】
H. Yagyu et al., ACS Appl. Mater. Interfaces, (2015), DOI: 10.1021/acsami.5b06915
Material Stage、2016年秋、公開予定
1-9 耐湿性と耐熱性、一気に改善する方法
フレキシブルデバイス用基板として注目を集めている透明ナノペーパーは、透明性を保ったまま、耐湿性と耐熱性を向上する必要がある。そこで本研究では、透明ナノペーパーをアセチル化して、極性溶媒で洗浄する方法を提案した。この方法を行なうと、ナノペーパーは透明性を保持したまま、耐湿性と耐熱性が向上した。read more …
【関連文献】
H. Yagyu et al., Flex. Print. Electron, (2017), https://doi.org/10.1088/2058-8585/aa60f4
1-10 ナノペーパー、その他の特徴
九大 柳田先生・長島先生との共同研究において、セルロースナノファイバーが100 TΩ以上という極めて高い電気絶縁性を示すことが明らかになりました(Celano 2016)。
またナノペーパーは、高い誘電率(k=5~6)を有するという特徴があります。これは、ポリイミドやPETなどエンジニアプラスチックを凌ぐ値です。
ナノペーパー発明されて、まだ10年。。その物性は、未解明のところが多いです。
最先端の測定技術をお持ちの方、是非、物性解明に御協力お願いします。
【関連文献】
誘電率 T. Inui et al. Advanced Materials (2014) DOI: 10.1002/adma.201404555
電気絶縁性 U. Celano et al. NPG Asia Materials (2016) 4, 5532, doi:10.1038/am.2016.144
1-11 機械的特性:高強度・高弾性率・低熱膨張率
セルロースナノファイバーは、「アラミド繊維並みの高強度・高弾性、石英ガラス並みの低熱膨張率」といわれています。そんな、スーパー繊維がびっしり詰まった「透明な紙」は、高強度(約15GPa)・高弾性(約250GPa)・低熱膨張率(約5ppm/K)です。 read more …
2. ペーパーデバイス
2-10 回収不要、「土に還る」IoTデバイス
このデバイスは、市街地のみならず、農地や森林などあらゆるシーンで湿度などの環境情報をモニタリングし、その情報をワイヤレスで発信します。そして、このデバイスは紙(セルロースナノファイバー)と金属、石ころ(鉱物)という自然の恵みだけで作られています。したがって、使い終わった後に自然環境へ放置・流出されても、1カ月程度で「土に還る」という特徴があります。read more …
【関連文献】
T. Kasuga et al. NPG Asia Materials (2016) 4, 5532, DOI:10.1021/acsami.9b13886
2-9持ち運びしやすいペーパー太陽電池
透明な紙と銀ナノワイヤを使うと、軽量で折り畳み可能な透明導電膜ができます。この材料を使って、透明配線やペーパー太陽電池を開発しました。将来の太陽電池は、ポケットやリュックに入れて持ち運べるようになるかも知れません。read more …
【関連文献】
M. Nogi et al. Scientific Reports (2015) http://www.nature.com/articles/srep17254
2-8 フレキシブル高誘電率ナノペーパー
あらゆるモノをインターネットに接続させるトリリオンセンサの実現には、アンテナやトランジスタなど電子デバイス部品の小型化や低消費電力化が重要である。誘電率が高い絶縁性基板は、トランジスタ・コンデンサなどデバイス部品の小型化・薄膜化において重要な電子部品であり、さらにリーク電流を大幅に削減することが可能であるため電子デバイスの消費電力を小さくできる。
セルロースナノペーパーに少量の銀ナノワイヤを加え、フレキシブルな高誘電率基板(k=726.5@1.1 GHz)を開発しました。この材料は、紙のようにはさみで切ることができ、紙のように折り畳むことが可能です。この高誘電率ナノペーパーを用いると、アンテナを小型化できます。このように、高誘電率ナノペーパーはデバイスの小型化や薄膜化、さらにはリーク電流の大幅な削減による省エネデバイスなどを実現できます。read more …
【関連文献】
T. Inui et al. Advanced Materials (2014) DOI: 10.1002/adma.201404555
機能材料、2015年10月、PDF(1.5MB 開封要パスワード)
2-7 ペーパーメモリー
阪大産研 柳田・長島、九大農 北岡らとの共同研究において、不揮発性ペーパーメモリーを世界で初めて開発しました。紙は、これからのデジタル情報化社会においても、記憶媒体として重要な役割を担い続けるでしょう。read more …
【関連文献】
K. Nagashima et al. Scientific Reports (2014) 4, 5532, doi:10.1038/srep05532
U. Celano et al. NPG Asia Materials (2016) 4, 5532, doi:10.1038/am.2016.144
2-6 電気の流れる紙
阪大 古賀先生が、銀ナノワイヤやカーボンナノチューブを使って「電気の流れる透明な紙」を作りました。ペーパータッチパネルへの応用に期待できます。紙はこれからもドンドン進化し続けます!!(詳細専門情報はコチラ!、電気の流れる紙の作製方法はコチラ)
【関連文献】
H. Koga et al., NPG Asia Materials, (2014) doi:10.1038/am.2014
2-5 ペーパートランジスタ
NHK放送技術研究所との共同実験において、透明な紙のうえに有機トランジスタを搭載することに成功しました。この成果は、ペーパーディスプレイの 未来に向けた大きな一歩です。将来は、紙を使ったペーパースマートフォンが登場し、紙のうえでテレビや映画、インターネットが楽しめるかも知れません。read more …
【関連文献】
Y. Fujisaki, H. Koga, M. Nogi et al. Adv. Fun. Mater. (2013), DOI: 10.1002/adfm.201303024
2-4 導電性ライン on ナノペーパー
ナノペーパーは、金属ナノインクを印刷しても滲まず、200℃@大気で加熱可能です。したがって、金属ナノ粒子や金属塩インクの印刷、スパッタ処理などで、ナノペーパーのうえにLEDライトを点灯する回路をつくることができます(左)。read more …
【関連文献】
Ming-Chun Hsieh et al., Nanoscale (2013), DOI:10.1039/C3NR01951A
Material Stage、2013 (12) 13-15 PDF(0.5MB 開封要パスワード)
2-3 高温・高湿も大丈夫! 導電性ライン on ナノペーパー
ナノペーパーへ印刷した配線は、高温・高湿環境でも、きちんと電気が流れます。
上グラフは、ナノペーパーへ(右)とプラスチックフィルム(左)へ印刷した配線を、85℃・RH85%雰囲気下に 1ヶ月半放置した際の導電性変化を測定し続けました。read more …
【関連文献】
Thi Thi Nge et al., Journal of Materials Chemistry C (2014), DOI: 10.1039/C3TC31220H
2-2 折り畳めるナノペーパーアンテナ
銀ナノワイヤインクとナノペーパーを用いて、折り畳める導電性配線(左)を開発しました。これらの材料をパターン印刷すると、高感度アンテナになります。さらに、このナノペーパーアンテナを折り畳むだけで、送受信周波数が制御できます(右)。read more …
【関連文献】
M. Nogi*, N. Komoda et al., Nanoscale (2013)、DOI: 10.1039/c3nr00231d
パルプ技術タイムス、2013年6月号、PDF(1.0MB 開封要パスワード)
2-1 カーボンナノチューブ・セルロースナノファイバーインク
阪大 古賀らは、東大 磯貝らとの共同研究において、イン クジェッ ト印刷可能なカーボンナノチューブ・セルロースナノファイバー複合インクを開発しました。この成果を発表した論文は、Biomacromolecules誌のMost Read Articlesのトップ3(2013年4月)にランクインしました。read more …
【関連文献】
H. Koga*, T. Saito et al. Biomacromolecules (2013) DOI: 10.1021/bm400075f
3. プリンテッド・エレクトロニクス
3.1. 印刷アンテナ
インクジェット重ね塗り印刷によるアンテナの感度向上
市販無線LANアダプターのアンテナ配線を、銀塩インクで重ね塗り印刷すると、ファイルのダウンロードスピードが20%近く向上されました。インクジェット印刷を用いるため、どんな複雑なアンテナパターンもトレース可能です。さらに、銀塩インクは低温焼結可能なので、既存のアンテナデバイスへ熱ダメージを与えません。
【関連文献】
N. Komoda, M. Nogi* et al., ACS Appl. Mater. Inter., (2012) DOI: 10.1021/am301747p
技術情報協会、ISBN: 978-4-86104-490-8 C3058 PDF(1MB 開封要パスワード)
高感度な銀ナノワイヤ印刷アンテナ
私達が開発した銀ナノワイヤペーストを印刷したアンテナは、既存の銅箔アンテナよりも優れた高周波特性を示します(右)。そして、低温焼結可能なので、プラスチック基板に印刷した銀ナノワイヤアンテナを使って、ラジコンカーを動かすこともできました(左)。
【関連文献】
N. Komoda, M. Nogi* et al., Nanoscale, (2012)、 DOI: 10.1039/C2NR30485F
技術情報協会、2013年7月 PDF(0.5MB 開封要パスワード)
ポリマー系コート層の研究
ポリマー系の受理層を印刷基板に塗布すると、受理層がインク溶媒を吸収するため、急激に加熱しても、体積抵抗率の小さな細い配線ができることを明らかにしました。
【関連文献】
C. Kim, M. Nogi* et al. RSC Advances (2012) DOI 10.1039/C2RA21442C
多孔質系コート層の研究
撥水性の多孔質コート層を印刷基板に作製すると、同じ印刷機、同じインク、同じ基板を使っても、5倍近く電気をよく流す配線ができました。
【関連文献】
C. Kim, M. Nogi* et al. ACS Appl. Mater. Inter. (2012) DOI: 10.1021/am300160s
配線の加熱方法
イ ンクジェット用インクは、粘度がとても小さいため、印刷配線の幅が細くなると、コーヒーリング効果によって配線の体積抵抗率が大きくなることを明らかに しました。さらに、インク溶媒をゆっくり蒸発させると、細くても、体積抵抗率の小さな細い配線ができることを明らかにしました。
【関連文献】
C. Kim, M. Nogi* et al. J. Micromech. Microeng., (2012) DOI:10.1088/0960-1317/22/3/035016
技術情報協会、ISBN:978-4-86104-596-7 PDF(0.2MB 開封要パスワード)
3.3 室温プレスによる銀ナノワイヤ透明導電膜
銀 ナノワイヤ透明導電膜は表面粗さが大きいため、ナノオーダーの薄膜を塗布する有機エレクトロニクスデバイスに使用すると、ショートしやすいという欠点があ りました。そこで、プレスして、平滑な銀ナノワイヤ透明導電膜を作製し、有機太陽電池の試作に成功しました。さらに、この方法は、非加熱・室温プレスなの で、省エネ技術として有望です。
【関連文献】
T. Tokuno, M. Nogi* et al. Nano Research, (2011) DOI: 10.1007/s12274-011-0172-3
透明導電膜の新展開 IV、ISBN: 978-4-7813-0641-4 ゲラPDF(1.5MB 開封要パスワード)
【メディア・受賞、一部抜粋】
- 2012年3月30日 田中貴金属グループ「貴金属に関わる研究助成金」MMS賞
- 2011年10月12日 半導体産業新聞
- 2011年2月18日 Tech On!
- 2011年1月25日 ”Best Poster Award” in The 14th SANKEN International Symposium
3.4 7倍伸ばしても導通する伸縮性導体
「金属粒子の分散技術」と「電気配線の印刷技術」を改良し、7倍伸ばしても導通する電気配線材料を開発しました。この電気配線は、紙基板に優れた密着性を示します。
この伸縮性導体は、ウェアラブルコンピュータ・人工筋肉など次世代フレキシブル材料に応用可能です。DOI: 10.1016/j.compscitech.2011.05.006
【関連文献】
- “Printable and Stretchable Conductive Wirings Comprising Silver Flakes and Elastomer”
T. Araki, M. Nogi* et al., IEEE Electron Device Lett., 32 (2011) 1424-1426,
DOI: 10.1016/j.compscitech.2011.05.006 - “Effect of Void Volume and Silver Loading on Strain Response of Electrical Resistance in Silver Flakes/Polyurethane Composite for Stretchable Conductors”
T. Araki* et al., Jpn. J. Appl. Phys. 51 (2012) 11PD01 (5 pages),
DOI: 10.1143/JJAP.51.11PD01 - 「銀フレーク・ポリウレタンペーストを用いた伸縮性導体の開発とその応用」
能木雅也、コンポジット材料の混練・コンパウンド技術と分散・界面制御、技術情報協会 2013 - 特開2012-054192 「伸縮性配線を有する導電部材」
- 「伸びる配線 -ポリウレタン・銀フレークコンポジット」
能木雅也・荒木徹平ら、高分子 61(3) 118-121 (2012) - 「7倍伸ばしても電気を通す超ストレッチャブル配線技術とこの研究分野における開発動向」
能木雅也・荒木徹平ら、NIKKO Green MOOK =プリンテッド・エレクトロニクスのすべて=、日本工業出版 2011
【メディア・受賞、一部抜粋】
- 2011年9月8日 エレクトロニクス実装学会研究奨励賞(荒木徹平君)
- 2011年1月25日 “Best Poster Award” in The 14th SANKEN International Symposium
- 2010年9月8日 日刊工業新聞
- 2010年9月8日 化学工業日報
- 2010年9月8日 Tech On!
4. セルロースナノファイバー補強透明材料
4.1 世界初、ナノファイバー補強した透明プラスチック(Yano 2005)
4.2 柔らかいのに伸びない、不思議なナノファイバー複合材料(Nogi 2008)
能木は京大生存圏 矢野研究室に在籍時、矢野教授らとともに、セルロースナノファイバー補強透明プラスチックの開発を行いました。read more …
この研究がすべての始まりでした。
(阪大では、ナノファイバー複合材料の研究は、ほとんど行っていません。)
【関連文献】
- “Transparent Nanocomposites Based on Cellulose Produced by Bacteria Offer Potential Innovation in Electronics Device Industry”
M. Nogi et al. Advanced Materials (2008)
DOI: 10.1002/adma.200702559 - “Optically Transparent Bionanofiber Composites with Low Sensitivity to Refractive Index of the Polymer Matrix”
M. Nogi et al. Appl. Phys. Lett. (2005)
DOI: 10.1063/1.2146056 - “Optically Transparent Composites Reinforced with Networks of Bacterial Nanofibers”
H. Yano et al., Advanced Materials (2005)
DOI: 10.1002/adma.200400597
© Department of Functionalized Natural Materials ISIR, Osaka University